漂々日記

Wandering Diary 

カマドケシ 

 

その日は日記で確認すると2007年8月25日(土)になっていた。

ユースパルあきた(秋田市)-R7-県道56-R101-男鹿半島-県道59-県道121-入道崎-県道55-なまはげライン-寒風山-県道55-県道54-県道304-八郎潟-県道42-R101-R7-能代-R101-鯵ヶ沢-R339-五所川原-芦野公園オートキャンプ場(五所川原市)泊
走行距離 298.3km

と、ある。
おととしの夏のこと、北海道に向けてのツーリングは青森まで寄り道をしながら自走した。自宅を出発して2日目。天気が良い日だった。秋田から男鹿半島を一周し、さらに日本海側を北上して青森県五所川原市の芦野公園オートキャンプ場で一泊した。そこで、地元の中年と見受けられるライダー3人組に声を掛けられた。オフロードバイクをハイエースなどのトランポに乗せて近くの林道に走りに来ている方々だった。一緒に飲もうとタープの下にお誘いを受けた。

「同じバイク乗りなら挨拶に来なきゃダメじゃねえか(笑)」
と言いながら、缶ビールと紙皿と箸を手渡される。
「すみません(笑)」
目の前には焼き網があり、肉やら何やら遠慮せずにつまんで食べろと言う。
いろいろとご馳走して下さった。
「どこから来た?」
「厚木...神奈川です」
「こっちの言葉分かんねえべ、ははは・・・」

確かに難しかった。しかし、夜風に当たりながらほろ酔い気分で聞く津軽弁は何とも心地よかった。
吉幾三のイクゾーハウスに行け、太宰治の斜陽館に行け、真冬に来て地吹雪ツアーに参加せよ、羽柴誠三秀吉のこと、ここに来るときに通った鯵ヶ沢のこと、舞の海のこと、昼に食べたラーメンのこと、林道のこと、2ストの加速感は病み付きになること、ここから自分の子どもを東京の大学に送り出すのにとてもお金がかかること、高橋竹山は地元の誇りであること等々、いろいろな話をした。

「仕事何やってんだ?」
「アルバイトしながら版画を少し...」
「版画?」
「何だっけあの美術館がある...」
「棟方志功ですか?」
「おおぅ!そうそう、知っているのか」
「しかし、版画とバイクと一体どういう関係があるんだ」
「はぁ...ははは(苦笑)」

その後、確かこう言ったのである(無論、冗談で)。

「ったく、しょうがねえなあ、あんたみたいのをこの辺じゃカマドケシって言うんだ。
分かんねえべ、カマドケシとは”#$%&’=~&%’$#”>?+M*・・・」

翌日、朝食にうどんまで振舞って下さった。本当にありがたかった。
五所川原市の芦原公園オートキャンプ場での楽しかった一夜のことは忘れられない。

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おととい、昼休みに立ち寄った本屋で呼ばれたように手に取った一冊。
「奇跡のリンゴ ‐「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録‐」
テレビで何となく見たことがある人だった。そこでは買わなかった。何だかミーハーな本のように思えて。でも気になり、結局昨日、地元の本屋で買ってしまった。一気に読んだ。岩木山麓でリンゴの無農薬栽培に挑む男とその家族の壮絶な実話だった。

その本に「カマドケシ」という言葉が出てきて、おととしの夏のことをふと思い出したのだった。そして「カマドケシ」の意味を改めて知った。
「カマドケシ」とは生活の中心にあるかまどの火を消してしまうこと。つまりその家の生活を成り立たなくすること。破産者、穀潰しを意味する津軽の言葉。

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